古畑任三郎ファーストシーズンDISK2 | 星空シアター

古畑任三郎ファーストシーズンDISK2

◆シアターと冠するブログなのに,映画の話題はさっぱり。やっと観ました。古畑任三郎ファーストシーズンDISK2。今回の対決は,鶴瓶の推理作家,板東八十助の棋士,木の実ナナのピアニストが相手だ。

◆鶴瓶はミスキャストか。どうみても,頭の切れる推理作家先生には見えない。ファックスのトリックは,時代を感じさせる。(ネタばれ注意)ワープロで文章を作成し,それをプリントアウトして,さらにファックで送る,これらのことが1分でできはしないというのが決定打だが,現在ではパソコンのワープロ文書をそのままファックスすることができる。したがって,この話のワープロは,今はなき(使っている人まだいらっしゃるかも。失礼)ワープロ専用機ということだからだ。

◆八十助の棋士は,まさに冷静な棋士然としており名演だ。三谷の脚本もすばらしい。棋士は自分の崇高なまでのプライドに最後は屈服してしまう。犯行を自白した棋士は言う「内心ほっとしているんです。このあと対局を検討する反省会があり,そこでどう説明していいのか途方に暮れていたのです」まさに,合理的に思考することをプライドとする棋士の姿を,見事に描き出し,観る側を感心させ,犯人同様にほっとさせるすばらしい場面だ。夕暮れの八十助の姿もじつに美しい。

◆木の実ナナは,イメージ的にはダンサーであるから,繊細なピアニストのイメージからは少し,ミスキャスト。しかし,音楽のために周りが恐れをなすほどの猛女という人物像としては適役だろう。脚本もすばらしく,ラスト,「音楽のために惹かれ合った愛をつらぬくための殺人である」ことが,ナナの大きな瞳からこぼれ落ちる涙で見事に表現されている。最後の古畑の「レクイエムを弾いてください」に「わきまえなさい」といなすところなど凡人にはできないしびれる脚本だ。とにかく絶好調の三谷脚本である。むろん,それを見事に具現化するキャストそして演出家のすばらしさは言うまでもない。