阿修羅のごとく 女は・・・ | 星空シアター

阿修羅のごとく 女は・・・

東宝
阿修羅のごとく

◆BS-フジ放送分をHDD録画にて視聴。ハイビジョン,2ch音声。

◆かなりのボケボケ画面に冒頭の「東宝」のマークからがっかり。しかし,映画の内容はよかった。


◆「猜疑心が強く,争いを好む・・・」阿修羅の定義が冒頭で示され,終末にこの映画のテーマを小林薫につぶやかせる。「女は・・・阿修羅だよなあ」実にわかりやすい。映画の中身は,この阿修羅たる女の姿が,4人姉妹で体現され,最後にひょうひょうとした母親もまた阿修羅なりで終わる。


◆であるから女優陣が輝いている映画であり,4姉妹それぞれに個性を放っている点が感心する。中でも,黒木瞳は見た目の清楚さと,内面の悶々とする阿修羅性がぶつかり合い,一層に印象的である。


◆深田恭子は自然な演技で,映画になじむのでいい女優だと思う。大竹しのぶは貫禄の演技だし,深津絵里はずいぶん小さい人だと思った。大竹しのぶもかなり小さいがそれよりも小さいのが,終末の墓参りで一一列に並んでいる場面でよくわかった。背丈は小さくても,演技はきりっとしていて大きく見えるのだから,これまたいい女優さんだ。


◆男優陣はそれを引き立てる役。昔ながらの向田組は小林薫だけだが,中村獅童がコミカルな演技で盛り上げてくれる。御大仲代達也はいわずもがな。


◆いい作品なので,画質がもう少し鮮明であってほしかった。音楽は大島ミチルで,トルコの音楽に負けない,雰囲気あるコミカルな楽曲で楽しませてくれた。ナレーションで「和田勉阿修羅」の加藤治子がクレジットされているが気付かなかったなあ。和田勉版で娘役だった八千草薫は,母親役に。この人もすばらしい女優さん。女優のすばらしさを感じさせる佳作だ。