ダーク・ウォーター 救いのティム・ロス | 星空シアター

ダーク・ウォーター 救いのティム・ロス

角川エンタテインメント
ダーク・ウォーター

◆レンタルDVDにて鑑賞。1080i。DTS音声。

◆中田秀夫の秀作「仄暗い水のそこから」のハリウッド・リメイク。監督にウォルター・サレスが起用された。「モーターサイクル・ダイアリー」はとてもすてきな作品だったので,期待できる。


◆映像は暗く陰鬱。ざらざらとしたフィルムの質感があり,始終雨が降っているのに,何となくほこりっぽい感じがして不思議である。この暗い画面は,3管プロジェクターの得意とするところ。液晶の固定画素では厳しいだろう。


◆オリジナルとどうしても比べてしまうが,リメイク版は幽霊っぽさ,例えばエレベーター内のカメラに少し写るなどのオリジナルの見えそうで見えない「ぞっ」とする部分は少なく,ついにナターシャが姿を現したときも,お人形のようにかわいい生きた少女である。その辺はオリジナルの軍配が上がる。


◆リメイク版では弁護士のキャラクターを創出し,彼がジェニファー・コネリーを救う心強い味方を演じる。この弁護士の存在がほっとさせる。何と,ティム・ロスが演じている。ひげ面でメガネをかけており,背もそれほど高いと感じさせない(ティム・ロスは大男)ので,エンドタイトルが出るまで分からなかった。自然な演技に納得である。


◆音声はDTSを奢っており,音像が天上近くに定位することが何度かあり,「おおっ」と思わせた。クリアで迫力あるサウンドはさすがはDTSである。


◆テーマとしては「母親に捨てられた少女」という悲しい底流が流れており,それを見るものに強く印象づける。そんな子どもはたくさんいるのだろう。その悲しみは一生ぬぐえぬものだが,それを繰り返さぬ勇気を母ジェニファーは提示して終わる。「ずっと見守っているわ」と。