かもめ食堂 スローライフ・スローフード
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◆長崎セントラル・シネマにて,久々の劇場鑑賞。
◆このところレンタルDVDで観る映画にがっかりしてばかりだった。邦画もハリウッド映画も・・・。ドラマに傾いていた自分を「やっぱり映画はええのお」と引き戻してくれる作品に出会う。幸せ。
◆フィンランドの首都ヘルシンキで撮影された荻上直子監督・脚本作品。キャストは小林聡美・もたいまさこ・片桐はいりとフィンランドの俳優さんたち。原作は群ようこ。いわば国際映画。
◆見終わって,日だまりのようなあたたかり気持ちになり,おもわず笑顔で劇場を出てしまう,そんな映画だ。一言で言うと,「スローライフ・スローフード」ということだが,エピソードの一つ一つとその語り口に,くすっと笑ってじんとくるそんなうまさがある。
◆もたいまさこがドランカーのフィンランド人女性と会話を交わす。片桐が「フィンランド語できるんですか?」「いいえ」。相手の気持ちに重ねることで言葉の壁を越えてしまうそのエピソードは,笑っている客もいたが,私は「これはあるだろうなあ」と共感したしだい。そんな共感できる場面が多いことがすばらしい。だまし合いばかりの現在の日本の現実を忘れさせてくれる。人間っていいなあ。森っていいなあ。おにぎりっていいなあ。おすすめの逸品である。
◆井上陽水の曲が2曲使われている。劇中の方は懐かしい曲。ストリングスに編曲されると,この曲のメロディの美しさが際だって感動した。白夜の夕日に重なる。もう一曲はエンドタイトル。「クレイジーラブ」。この伴奏は,そのまんまビートルズの「オーダーリン」である。グノーのアヴェ・マリアもそんまんま伴奏はバッハの平均率であるのを思い出した。ビートルズ世代にはおもしろい。