地下迷宮映画二本立てその1  「稀人」 | 星空シアター

地下迷宮映画二本立てその1  「稀人」

ジェネオン エンタテインメント
<ホラー番長シリーズ> 稀人

◆レンタルDVDにて鑑賞。1080i。2chステレオ音声。

◆呪怨の清水崇が塚本晋也を役者として迎え,小中千昭脚本,高橋洋監修という夢のようなスタッフが結集。


◆恐怖を探求するビデオ撮影オタクの主人公が,地下迷宮に迷い込み,そこで出会う少女との生活。


◆何と言っても,クトゥルフ神話を下敷きにした点が印象的。特に,「狂気の山脈」の映像化は映画の閉鎖的な世界に開放感を与え突出している。地下なのに地上よりさわやかなパラドックスのおもしろさ。


◆地下の山脈の麓で出会うFの硬質陶器のような美しい肌は目に焼き付く。演じた宮下ともみは童顔のおっとりした顔に大変な美しい足で観る者を魅了する。地下で鎖につながれた絵が映画の中で最も美しい。地上に出るとその魅力はとたんに色あせてしまう。まさにクトゥルフ賛歌と言えよう。


◆塚本は声がいい。かなり長い塚本の主観のナレーションで映画は進行していくが,声がいいので心地よい。


◆清水崇が新しい面を見せようとがんばったわけだが,全身白塗りではいつくばって進む「デロ」は清水崇が常にとり続けているDNAである。呪怨以前のショートフィルムの時代から白塗りの彼らには怖がらせられてきた。


◆地下迷宮その1は「地下こそ楽園」,地上世界の愚かしさ窒息感と対比的に地下が描かれる。当然塚本はFとともに地下へ。