僕が9歳だったころ 美しい記憶の断片 | 星空シアター

僕が9歳だったころ 美しい記憶の断片

僕が9歳だったころ デラックス版
¥3,990
株式会社ファミマ・ドット・コム

◆レンタルDVDにて鑑賞。1080i出力。2chステレオ音声。

◆イ・セヨンちゃんつながりでのレンタルだったが,映画自体も実に叙情豊かな作品で満足できる。昨日のインドの監督とは雲泥の差である。


◆田舎の小学校にソウルから一人の美少女が転校してくる。教室に一陣の風を巻き起こし,感動的な独白を残して再び転校していく。


◆題名からして,現在があり回想へと入るのかと思いきや,いきなりの9歳のころから始まり,そして終わる。つまり,映画の中の誰かの回想でなく,監督自身のあるいは観客の回想として映画がつくられている。


◆主役の二人は芸歴も長く,すばらしい演技を見せるが,周りのオーディションで選ばれた子供たちがとても自然である。特におかっぱのクルボムという少女は,主人公ヨミンとイ・セヨン演じるところの美少女ウリムの仲が接近するのを目の当たりにし,取り残されたような気持ちを爆発させるその演技のすばらしさは筆舌に尽くしがたい。「小さな恋のメロディ」のジャック・ワイルドを思い出して切なくなる。


◆夏・秋・冬と田舎の美しい風景の中で,小学生の関係,親子の関係など自然に描き出していく。小学4年生ではこなせりふは言わないだろうという部分もある。最後のウリムの独白などその最たるものだが,観る側が感動して許してしまう。


◆監督がインタビューでも話していたが,どんなにつらい記憶でも,時がそれを美しくしてしまう。人間の記憶とはうまくできているものである。4年生の頃,いろいろ悩みはあっただろうが,今は楽しかった記憶だけが思い出される。港が美しく見えた小学校のまでからの景色。その小学校は今年で閉校となる。あの景色は永遠に私のこころの中に生きることとなる。


◆色はこってり気味で,夜の突撃シーンに続くウリムの美しさ,秘密基地の外の吹雪の白さ,秋の林の中など映画的色彩感も堪能できる。おすすめの逸品。