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ピアノを弾く大統領 新任教師の心得

エスピーオー
ピアノを弾く大統領

◇レンタルDVDで視聴。


◇冒頭にチェ・ジウが転校生の高校生姿で登場。「このクラスのボスは?」「パシリは(いじめられっ子)」「問題児は?」とクラスメイトに尋ねる。迫力に押されて,この転校生に教えてしまう,女子高生。

 実は,チェ・ジウはそのクラスの新しい担任として赴任した教師であり,転入生姿は,クラスの内情を短時間にリサーチする大作戦だったというわけ。こりゃ,新任教師の心得として使えるかな。小学校だと無理かな。



コンスタンティン ワイズっていくつ?

ワーナー・ホーム・ビデオ
コンスタンティン 特別版 (初回限定版)

◇レンタルDVDにて鑑賞。720P,DVI-D接続。

◇地獄の存在を映像化した部分が印象的。天国はどんなところだろうか?


◇キアヌはぴったりのはまり役。驚いたのは,レイチェル・ワイズの若々しさだ。「ハムナプトラ」ではもっと年上に見えたが,本作ではすごく若々しく,魅力的だ。歳いくつだろうか?


◇映画にはぐいぐい引き込まれていくが,終盤で何とも人間くさい「ルシファー」が出てきて,これがまた弱くって,頭も悪く少しがっかりさせられる。肺ガンも取ってくれるし,いい「ルシファー」です。


◇冒頭の悪魔を鏡に閉じこめるシークエンスがすばらしく印象に残っている。つかみは最高だった。

Shall we Dance? やはり草刈さん

東宝
Shall we Dance ?(初回限定版)

◇レンタルDVDにて鑑賞。720P,DVI-D接続。


◇最後の髪をおろしたジェニファー・ロペスはなかなか素敵だが,アップにしたときは,やはり顔の骨格がごつい。社交ダンスのイメージではない。草刈民代の優雅さには比べるべくもない。周防監督のオリジナルを見たときの草刈民代に感じた「こんなに美しい女性がいるのだなあ」という感慨を今でも覚えている。


◇米国版では,夫婦の絆を強めるというエンディングになっているのが特徴だが。ここで,クローズアップしてくる妻役のスーザン・サランドンは魅力的である。さすがに手に年を感じさせるカットもあったが,彼女の瞳と眉のかもし出す芯強さに魅力を感じるのだ。


◇脇役では,竹中直人のキャラに並ぶ者はなく,田口浩正の汗っぽさも独特の味があり,オリジナルのすばらしさを再確認。渡辺えり子役の人はなかなか似ていたなあ。

角川エンタテインメント
Shall We ダンス? (初回限定版)

ダーティーハリー 音楽のクリアさに驚愕

ワーナー・ホーム・ビデオ
ダーティハリー

◇BS-hiで放送されたものをRECPOTに録画して鑑賞。


◇くらい場面が多いが,三管式の得意な画像であり,闇の中の階調が楽しめる。銀行強盗をマグナムで阻止し,クラッシュした車に破れた水道管から水がかかる。実にしっとりとしたハイビジョン画像である。古い映画特有のざらつきもなく鮮鋭感もすばらしい。


◇何より驚いたのは,2チャンネルステレオで鳴る,ラロ・シフリンの音楽のクリアで生々しいこと!シンバルの鋭さ,低弦の迫力,コンガのリアルな音など,驚愕のサウンドである。もちろん,同録の役者の声はそれなりの歴史を感じさせる音だが,音楽のクリアさにはあっと声を出すほど驚かされた。DVDもこのようないい音なのだろうか。


◇さて,ストーリーは正義のために法を犯してしまうハリーの男らしさに泣かされる。法のために一般市民が危険にさらされるという不条理をするどくついている。思い出すのは,森田芳光監督の名作「39」である。

 それにしても,クリントイーストウッドのかっこよさは最高であるし,夜明けのゴールデンゲートブリッジの美しさ,競技場での空撮によるズームからどんどんカメラが引いていく映像は印象的である。

 イーストウッド自身も,「恐怖のメロディ」では空撮を多用していた。そのダイナミックさはいささかも古くさくない。

深呼吸の必要 緑の中の再生のドラマ

バンダイビジュアル
深呼吸の必要 (初回限定版)

◇レンタルDVDにて鑑賞。

◇篠原哲雄監督の原点は,緑の中の再生のドラマにあることを確認させられる。「月とキャベツ」でも山崎まさよしが育てるキャベツの緑はまぶしく,この映画の色の印象として強く残っている。本作「深呼吸の必要」でも同様であり,より一層のどこまでも続くサトウキビの緑がまぶしい。


◇それぞれに傷をもち,そこから逃れるように集まった5人の男女。明確には,子供を見送る事に絶望した小児科医,挫折した元甲子園球児,リストカットのあとがある高校生の3人が深く傷を負っていることが示される。主人公の香里奈と不満ばかりのギャルの絶望は語られない。全員が全員不幸のどん底というのでないのが,逆にリアリティを感じる。とはいえ,この二人も何かから逃れてきたことには変わりはない。


◇彼らが,沖縄の小島のオジイとオバアのもとで,労働と通じて,そして沖縄の自然に抱かれて,緑の中でそれぞれが再生していく物語である。少ない台詞,色恋がからんでこない,いわば淡々とした労働風景を丹念に繊細に描くことで,いつも何かに追われているようにあくせく働く自分に,「深呼吸の必要」を感じさせてくれる。


◇日々走り,そして疲れている我々は,ちょっと立ち止まり,深呼吸をして「なんくるないさあ(なんてことないさ,どうにかなるよ)」ってつぶやくことで,少し余裕をとりもどせるんじゃないだろうか。そう思わせてくれる癒しの映画である。


◇長澤まさみはほとんど台詞が無く鬱々とした女子高生を好演。終盤の笑顔がすてきである。


THE有頂天ホテル パズルピースがかちっとはまる快感

utyou

◇渋谷のシネタワーにて,雪の朝の第1回目鑑賞。


◇「笑の大学」での,あまりに演劇的すぎて映画の特性を生かし切れなかったことに残念さを感じた三谷監督作品だが,この新作はすばらしい!


◇オールスターと言っていいほどの豪華キャスト陣の一人一人にきちんとスポットが当たり,その人物の内面が描かれ,そして様々な人物達の織りなす一見バラバラなパズルのピースが,最後にぴしっとはまって,見事な絵を現出する,そんな快感に満ちた作品である。


◇「パリの空の下セーヌは流れる」以来,このようなばらばらな物語が一つに収束していくストーリーが大好きであり,そんなシナリオを創り上げる脚本家を尊敬する。三谷氏はそんな希有の脚本家である。加えて,監督としての映画作りの腕も確実に上がってきている。それは,「笑の大学」での一部屋の物語が,ホテルの建物に増幅拡大した点を評価したい。ホテルの縦横に広がる広大さが,映画の広がりへとつながっている。今後外へも広がっていくのだろうか。


◇キャストは誰もが名演技だが,特に伊東四朗・西田敏行は絶品である。役所広司はイメージが少し固定化して来つつあるので,今後ものすごい悪役を演じることを期待したい。どんな役もこなせるのが彼の凄さである。


◇画像的には,セピア調でざらっとした質感があるのは,意図的にであろうか。それとも劇場の特性だろうか。鮮鋭さには少し欠ける。


あずみ 百人切りの実写化に拍手

◆BS-iにて放映分をHDD録画でハイビジョン視聴。


◆「ヴァーサス」での疾走感あるアクションで注目していた監督北村龍平が見事にやってくれた。劇画「あずみ」の百人切りの実写化を。これほど人が死ぬ映画も珍しい。子供には余り見せられない。


◆上戸彩は自然なアクションで感心させられる。もう少し憂いが表現できると最高だが。うつけ3人組も印象深いキャラだ。しかし,なんといっても美女丸のオダギリジョーのぶっ飛んだ演技が素晴らしい。美しくも巨大な怪物に見える。


◆美女丸とあずみの対決で,カメラが360度縦回転する映像は新鮮。デ・パルマが360度横回転をよく使ったが,縦回転すると居心地が悪く,のりものに酔ったような感じになる。美女丸の倒錯感を増幅する。


◆男優人も小栗・成宮・瑛太等若手の充実に,ベテランもしっかり脇を固め揺るぎなし。

アミューズソフトエンタテインメント
あずみ デラックス・エディション

ランド・オブ・デッド 生々しい地獄絵図,しかしそれだけ

◆レンタルDVDにて鑑賞。

◆ゾンビシリーズの御大「ジョージ・A・ロメロ」の新作。


◆3部作の完成度があまりに高いためか,残念ながら本作はそれに及ばない。ゾンビが人を食す,地獄絵図は目を背けたくなるようなリアルさだが,それだけである。


◆ゾンビにリーダーが出現し,彼に従って集団としての恐怖を描くというのが今回のポイントの一つだが,ゾンビリーダーにカリスマ性が薄く,企画が成功していない。

◆主人公達一人一人の描き込みも薄く,仲間同士の関係がよくわからない。中国系の巨人にはもっと活躍して欲しかった。

◆悪のボスは何とデニス・ホッパーが24シーズンⅠのビクター・ドレイゼンと同じ風貌で登場し,「お!」と思わせるが,ビクター・ドレイゼンの残忍さやカリスマ性はみじんもなく,情けないこときわまりない。


◆特殊メイクだけが際だって,ストーリーがない失敗作と言えよう。誰にだって駄作はあるものだ。

ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ランド・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット

エイリアン・ビギンズ HRギーガーの造形美を再確認

◆レンタルDVDにて鑑賞。

◆あまり,期待はしなかったが,あまりにチープであり,時間を損した印象が強い。

◆日本語の題名とジャケットは,あの「エイリアン」シリーズとの関係を伺わせるのだが,全く関係がない。「バットマン・ビギンズ」や「エクソシスト・ビギンズ」のようにバットマンやエクソシストの前エピソードを語るものでは全くない。


◆エイリアンははっきりとは見えないが,美しくなく,今更ながらにHRギーガーの「エイリアン」シリーズの造形の美しさに感心させられることとなった。


◆どちらも囚人輸送車の事故だということだけ笑えた。

ジェネオン エンタテインメント
エイリアン・ビギンズ

輪廻 不条理こそ恐怖


大石 圭, 清水 崇
輪廻

◆ユナイテッドシネマにて鑑賞。前から3列目,前に誰もおらず快適。後ろの客が背もたれをドスドスやったので,振り向いてやったら,もうしなくなった。よかった。


◆筋書きが理路整然として,途中で優香の正体も分かってしまう。理路整然としているから,冒頭の数人の怪異も納得がいくのだが,やはり怖さはずいぶんとそぎ落とされていってしまう。不条理こそ恐怖なのだ。


◆優香・椎名桔平のキャスティングもはまっているとはいいがたい。あまりに人口に膾炙されすぎている俳優ということか。優香は熱演なのだが,優香の明るさがぬぐい去れなかった。香里奈はそんな中で一人魅力を放っていた。


◆映画撮影の現場が舞台であり,劇中劇の様相を見せるが,あまり効果的とはいえないのが残念。映画のラッシュに子供の幽霊が映るが,あまりに人間的すぎる。「女優霊」があまりに優れていたのでつい比較してしまう。しかし,見えそうで見えないのが怖いという小中理論と清水崇のもろに幽霊を見せてしまう話法の違いがあるわけだが,怖さでは小中理論を支持したい。


◆そんな中でも怖かったのは,8ミリフィルムと生き残った奥さん。毎日手合わせてつぶやくのは呪詛だろう。輪廻転生しても救われないとは悲しいテーマである。